こんにちは、CM-T(@freedas_)です。
今回は、もう正直「かんべんしてくれよ!」と言いたくなる、
居宅介護支援事業所で必要な研修・委員会・訓練などを、
効率的に実施していく方法をまとめました。
はじめに:義務だと分かっていても…どうこなすのか
皆さま居宅介護支援事業所では令和6年4月から、
BCPや高齢者虐待防止などのカラミから、委員会・研修・訓練の実施が義務化されましたよね。
改正の度にややこしくなっていくこれらへの対処、
皆様はどうされていますか?
「やらなあかんのは分かっている…でも、月に何回も集まる余裕なんて…」
うちの居宅でも実際に困りました。
この記事では、居宅介護支援に求められる委員会・研修・訓練を全部並べたうえで、
月1回の事業所内会議の枠だけで、無理なく回す方法をまとめます。
うちの事業所で実際にやっている形なので、
そのまま真似してもらってもいいし、
事業所の実情に合わせて組み替えてもらっても構いません。
居宅介護支援に必要な委員会・研修・訓練の全体像
まず、居宅介護支援事業所に課されている項目を整理します。
感染症対策
・感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備
・感染対策委員会の開催(おおむね6か月に1回以上)
・感染症対策の研修(年1回以上、新規採用時は別途)
・感染症対策の訓練(年1回以上)
業務継続計画(BCP)
・感染症BCP、災害BCPの策定
・BCPの研修(年1回以上、新規採用時は別途)
・BCPの訓練(年1回以上)
・BCPの定期的な見直し
高齢者虐待防止
・虐待防止のための指針の整備
・虐待防止委員会の定期開催(年1回以上が目安)
・虐待防止の研修(年1回以上、新規採用時は別途)
・担当者の設置
一覧表で確認(居宅介護支援)
| 区分 | 項目 | 実施回数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 委員会 | 感染対策委員会 | 年2回以上 (6か月に1回以上) |
他の会議と一体開催可 テレビ電話等の活用可 |
| 虐待防止委員会 | 年1回以上 | 担当者の設置も必要 | |
| 身体拘束等適正化検討委員会 | 対象外 | 施設系・多機能系のみ | |
| 研修 | 感染対策研修 | 年1回以上 | 新規採用時は別途実施 |
| BCP研修 | 年1回以上 | 感染症BCPの研修は感染対策研修と一体可 新規採用時は別途実施 |
|
| 虐待防止研修 | 年1回以上 | 新規採用時は別途実施 | |
| 身体拘束適正化研修 | 対象外 | 自治体によっては実施を依頼している例あり | |
| 訓練 | 感染対策訓練 | 年1回以上 | 机上訓練可 |
| BCP訓練 | 年1回以上 | 感染症BCPの訓練は感染対策訓練と一体可 机上訓練可 |
|
| 防災訓練 | 義務なし | 災害BCPの訓練として実施すれば足りる |
※一体的に実施する場合も、それぞれの内容を実施したことが記録で分かるようにしておく必要があります。
※従業者が1名の事業所で感染症予防の指針が整備されていれば、感染対策委員会は開催しなくても差し支えないとされています。
※上記は令和6年度改定以降の基準をもとにした整理です。最終的には自治体の集団指導資料等で確認してください。
居宅介護支援には不要なもの
身体拘束適正化の委員会・研修は、居宅介護支援事業所には義務付けられていません。
「うちも要るんかな」と不安になる人が多い項目ですが、
施設系や多機能系のサービスに求められるものなので、居宅では対象外です。
未実施の場合の減算
BCPの策定・研修・訓練が未実施の場合は業務継続計画未実施減算、
虐待防止の指針・委員会・研修・担当者のいずれかが欠けている場合は高齢者虐待防止措置未実施減算の対象になります。
(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」)
どちらも所定単位数の1%減算ですが、
金額の問題以上に「基準を満たしていない事業所」として運営指導で扱われるのが痛いところです。
「一体的に実施」は解釈通知で認められている
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
委員会・研修・訓練は、それぞれ別の日に、別の枠で開かなければならないわけではありません。
解釈通知では、次のことが明記されています。
・感染対策委員会は、他の会議と一体的に開催しても差し支えない
・委員会はテレビ電話等のICTを活用して開催できる
・感染症BCPの研修は、感染症対策の研修と一体的に実施しても差し支えない
・感染症BCPの訓練は、感染症対策の訓練と一体的に実施しても差し支えない
・訓練は机上訓練を含め、実施方法は問わない
(出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(老企第22号)」)
つまり、月1回の事業所内会議の中に、
委員会の時間と研修・訓練の時間を組み込む形で、要件を満たすことができます。
大事なのは「別々にやること」ではなく、
「それぞれをやったと記録で分かること」です。
月1回の会議枠で回す:年間カレンダーの実例
うちでは、毎月1回の事業所内会議(30〜60分)を、
前半を「委員会」、後半を「研修または訓練」の枠にして、年間で割り振っています。
年間の割り振り例
4月 感染対策委員会 + 感染症対策研修(感染症BCP研修と一体)
5月 通常の事例検討
6月 虐待防止委員会 + 虐待防止研修
7月 通常の事例検討
8月 感染症BCP机上訓練(感染症対策訓練と一体)
9月 通常の事例検討
10月 感染対策委員会 + 災害BCP研修
11月 通常の事例検討
12月 虐待防止委員会(+ 気になるケースの振り返り)
1月 通常の事例検討
2月 災害BCP机上訓練 + 年間の振り返り・計画の見直し
3月 通常の事例検討・次年度の年間計画確認
この形なら、感染対策委員会は年2回(4月・10月)、
虐待防止委員会は年2回(6月・12月)、
研修・訓練はそれぞれ年1回以上を確実にクリアできます。
さらに、空いた月は事例検討やケアマネジメント技法の共有など、
本来やりたい内容に使えます。
新規採用時の研修は別枠で
感染症・BCP・虐待防止の研修は、新規採用時に別途実施することが求められています。
年間カレンダーとは別に、入職時のオリエンテーションで指針・BCP・マニュアルを説明し、
その記録を残しておく形で対応します。
研修と訓練を混同しない
運営指導で指摘されやすいのが、研修と訓練の区別です。
研修は、知識の共有です。
指針やBCPの内容を職員で確認する、マニュアルの変更点を説明する、といったものが研修にあたります。
訓練は、シミュレーションです。
「担当ケアマネが感染して1週間出勤できない」と想定して、
誰がどの利用者を引き継ぐか、どこに連絡するか、を実際に動かしてみる。
これが訓練です。
座学だけで「訓練も実施した」と記録すると、
内容を見られたときに「これは訓練ではない」と言われる可能性があります。
机上訓練で構わないので、
「想定した場面」「誰が何をしたか」「課題として出たこと」を記録に残しておくのが大事です。
居宅向け机上訓練のシナリオ例
・ケアマネ1名が感染症で1週間欠勤 → 担当利用者の引き継ぎとサービス事業所への連絡
・地震で事務所が使えない → 利用者の安否確認の優先順位と連絡手段
・停電と通信障害 → ケアプランや利用者情報にどう手を付けるか
30分あれば十分回せます。
訓練で出た課題をBCPの見直しに反映すれば、「定期的な見直し」の記録にもなります。
記録の様式は1枚に統一する
委員会議事録、研修記録、訓練記録を別々の様式で作ると、
どこに何があるか分からなくなって、運営指導の直前に慌てることになります。
うちは、1枚の様式にまとめています。
・区分:□会議 □委員会 □研修 □訓練(複数チェック可)
・実施日時・場所(オンラインの場合はその旨)
・参加者・欠席者
・欠席者へのフォロー(資料配布・個別説明の日付)
・内容(委員会の検討事項/研修の内容/訓練の想定と結果)
・出た課題・改善点
・周知の方法(会議録の回覧など)
ポイントは、タイトルや区分欄で「これは感染対策委員会として開催した」
「これは感染症BCPの訓練として実施した」と、記録上ではっきり分かるようにしておくことです。
月例会議の議事録の中に埋もれていて、
「委員会をいつ開いたか」が拾えない状態だと、未実施と見なされるリスクがあります。
この記事で紹介した年間計画・統一記録様式・机上訓練記録・新規採用時研修記録の4つを、
1つのExcelファイル(4シート)にまとめて無料で配布しています。
ご利用にあたって
本様式は令和6年度改定以降の基準をもとに作成した一例です。
実際の運用にあたっては、
事業所の実情や自治体の指導内容に合わせて項目を調整してください。
1人ケアマネの事業所の場合
従業者が1名の居宅介護支援事業所は、
感染症対策の指針を整備すれば、委員会を開催しなくても差し支えないとされています。
ただし、研修と訓練は1人でも実施が必要です。
自分で指針とBCPを読み返した記録、
机上で「自分が倒れたら誰にどう連絡するか」を確認した記録を残しておくことになります。
年間計画に落とし込むところまでやっておく
義務の項目を年間研修計画に最初から組み込んでおくと、
「計画→実施→記録→見直し」が一本の線でつながります。
運営指導で見られるのは、この線がつながっているかどうかです。
計画はあるけど実施記録がない、
委員会は開いたけど議事録に「委員会」と書いていない、
BCPは作ったけど訓練の記録がない。
こういう「線が切れているところ」が指摘の入り口になるので、
年度初めに年間カレンダーを組んで、様式を1枚にしておくだけでかなり防げます。
まとめ
・居宅介護支援に必要なのは、感染症対策・BCP・虐待防止の委員会・研修・訓練
・身体拘束適正化は対象外
・委員会・研修・訓練は一体的に実施して差し支えないと解釈通知に明記されている
・月1回の会議枠を「委員会+研修または訓練」に割り振れば、年間で全部回せる
・研修と訓練は別物として記録する
・記録様式は1枚に統一し、区分が一目で分かるようにする
最終的な運用は自治体によって温度差があるので、
集団指導の資料や指定権者への確認は一度しておいてください。
実際に運営指導を受けたときの体験は、別の記事にまとめます。
【→運営指導の体験記へのリンク枠(公開後に差し替え)】
この記事が、同じところで悩んでいるケアマネの参考になれば幸いです。


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