どうも、masa-T(@freedas_)です。
ついに『隠れ食物アレルギー』シリーズの完結編!
第1回、第2回の続きなんで、読んでいない方はぜひ読んでからどうぞ!
成人アトピーの原因の1つとして考えられる『遅延型食物アレルギー』。
そしてそのアレルゲンを検査しようと思って調べると出てくるのが『遅延型フードアレルギー検査』。
医学会からは嫌われていてフツーの病院では検査してもらえないし、健康保険が適用されないからめっちゃ高いのにもかかわらず、検査する人はけっこう多い…
どうやら『遅延型フードアレルギー検査』には『光と影』がある!
さて、本編に入る前にここでちょっと用語の整理をしときます。
この記事内に出てくる
『IgG抗体検査』=『遅延型フードアレルギー検査』
です。
『遅延型フードアレルギー検査』の影(否定的意見まとめ)
前回記事で遅延型フードアレルギー検査が世界中の医療界から嫌われていることを書きました。
なんでそこまで嫌われちゃったのか?
そんな遅延型フードアレルギー検査の黒歴史が分かりやすくなるように、ざっくりヒストリー形式でまとめました。
・2013年アメリカで「グルテンフリー」の基準を満たした食品に合格マークが表示されるようになり、グルテンフリー食品が信頼・安心できるとして消費者のハートを射止める。
その後テニス選手のジョコビッチの本がヒットするなど、
『アレルギーダイエット』や『グルテンフリー』などの食事制限による健康法が流行。
制限する食品を断定するためにIgG抗体検査がすすめられる
・すぐに日本にもブームが到来。
遅延型フードアレルギー検査は高額にもかかわらず自費(2~5万円程度)で検査する人が急増。
そして過剰な食事制限で体調を崩す人がでたり、けっこう医療現場は混乱した。
・遅延型フードアレルギー検査が過剰に流行りすぎて混乱していたアメリカで、行き過ぎた食事制限などに警鐘を鳴らすために各団体が『食物アレルギーに対するIgG抗体検査は推奨しない!』との声明を出した。
まもなく日本の各学会もこれにならい次々に同様の声明を発表。
とまあ、こんな流れのよう。
「ダイエット」や「健康法」として流行ったはいいけど、体を壊しちゃう人が続出したことが大きな要因だったみたいです。
たしかにこれじゃあおすすめできないわね…
以下は現場で実際に困ったお医者さんの声。
ところが、です。ここ1~2年の間、谷口医院には次のような患者さんがときどき受診されます。
患者:血液検査でIgG抗体が陽性の遅延型食物アレルギーがあるからコメを食べないように言われて食べていないのですが、これからも食べてはいけないのでしょうか。
医師(私):コメを避けて変化はありましたか?
患者:何もありません。ニキビと下痢と湿疹が治るはずだって聞いたんですけど・・・。
医師(私):検査をしたところでは何と言われたのですか?
患者:IgG抗体が陽性だからとにかくコメを避けるべきと言われたのです。あたしが、前は普通に食べていたし、やめてからも何も変わりません、と言うと、じゃあ少しだけ食べますか、って言われました。あたしが、少しだけってどれだけですか、って質問すると、それは自分で考えてください、と言われました・・・。
この検査をしたところが医療機関かどうか不明ですし、返答したのはおそらく本物の医師ではないでしょう。しかし、このような患者さんが複数人受診されましたからこのような検査を実施しているところがあるのは事実です。
そもそもこの「IgG抗体が関与した遅延型食物アレルギー」というのは海外では昔から否定されているものです。日本のアレルギー関連の学会は公式な見解を発表していなかったために、そこを狙って悪徳業者が金儲けのために食物アレルギーに不安を抱く日本人をターゲットにしたのでしょう。
なるほど。
特に日本の学会が公式見解する前はひどかったみたいですね。
おっしゃるとおり、流行りに乗ってビジネスしちゃう人たちも同時にわんさかいたのでしょう。
そりゃーそんだけ高いんならきっと儲かる!売り込みたいヤツの気持ちも分かるぜ!
次に遅延型フードアレルギー検査に否定的なメディア記事を2つご紹介します。
どちらもけっこうな論調でIgG抗体検査を叩いている印象ですね~
否定的な意見をまとめると、
● 現在の医学では食物アレルギーに対するIgG抗体検査は認められていない
● 業者やメディアにダマされないように
● 専門医の診断が必須
といったところ。
たしかに「ダイエット」や「健康」業界は莫大なカネが動くと有名です。
誘惑に負けて踊っちゃた(検査を受けて行き過ぎた食事制限をした)人は痛い目を見たことでしょう。
やっぱり人の言うことをそのまま〝うのみ″にするのは危険よ!
最終的に判断するのはいつでも自分。
と、わたしは自分に言い聞かせております。
遅延型フードアレルギー検査の光(肯定的意見まとめ)
世界中の医学界や学会から認められてないとは言え、現実には遅延型フードアレルギ検査の結果をもとに症状が改善するという声はけっこうあります。
そして、たぶん少数派だと思うけど、医師の中にもIgG抗体検査に関してしっかりと考えを持って活用している人がいます。
院長の私自身もIgGの検査を行い、しょうがと卵とパイナップルで反応が見つかりました。(日本で行うことが出来るIgEの食物の検査では無反応でした)
反応した食物を除去したところより、45年も続いていた慢性の下痢症状が改善した為、当院への導入を決めました。〈中略〉
IgG検査に関しては最近、相次いで多くのアレルギー団体から「食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しない」との見解が発表されました。
IgG検査を希望される方は各学会の見解も踏まえたうえで受診されてください。
症状のない方で多くの食物に高い反応を示す方も多く、この値のみで多くの食物を除去した食事を長期間続けることには私も反対です。 〈中略〉
この検査により食べ過ぎていたり、体が過敏に反応している食物を知り、飽食の時代の食との係わり方を見直すきっかけになれば良いと思います。
お医者さん本人が実際に検査を試した説得力がすごい!
こんなお医者さんはなかなかいないわよね!
このお医者さんの、IgG検査を盲目的に利用するのではなく、
「食べ過ぎていたり、体が過敏に反応している食物を知り、飽食の時代の食との係わり方を見直すきっかけになれば良いと思います。」
と言うスタンスもすごく共感できます。
まっ、2万円以上払ってそういう使い方をする人はまずいないと思うけど…
お次は慢性疾患をお得意とするサイトから引用。
私は、
・IgG抗体上昇に関連して、アレルギー症状としての精神症状が見逃されている可能性がある。
・IgG単独のエビデンスは少ないが、腸内環境と精神疾患の関係を示すエビデンスは豊富であり、これらをまとめて総合的にとらえるべきと考えています。前出の日本小児アレルギー学会の主張の元になっているこのカナダアレルギー臨床免疫学会の見解を見て頂きたいのですが、
(http://catci.jp/pqj/kkwb10/2281)彼らが心配しているのは、
「十分な説明がないまま、キットだけが業者から直接消費者に売られていること」
「十分な知識のない医師や薬剤師のいるクリニックの待合室、薬局などにおいてあること」
「その結果が間違って理解され、食物制限をした子供が発育障害を起こすこと」
なのです。IgG食物アレルギー検査は、その検査の有用性と欠点を合わせて知っている経験のある分子栄養学医にとっては、貴重な情報です。
問題はその検査の使い方であり、検査だけが独り歩きすることがないようにしてほしいものです。
もちろん、IgG検査の欠点もたくさんあります。やってみた人はわかると思いますが、検査会社ごとに結果のばらつきが非常にあります。
特に、各食物に対するアレルギーを鵜呑みにしないことが大切です。栄養療法においては、IgG検査に限らず、いかに腸内環境を把握するかが治療の成否を分けます。
なぜなら、栄養やサプリメントは腸管から吸収されるからです。・腸内環境を把握しないまま、サプリメントを大量摂取して、腹部の膨満感が続くばかりで症状改善がない人
・腹部症状が改善していないのに、カンジタの除菌や、重金属デトックス治療を行い、副作用が多くて失敗した人
が多いです。
IgG検査の結果をふまえて食物を制限するだけでは一時しのぎにしかなりません。
食物を制限し、症状が治まっている間に腸内環境の修復をしてそのような食事をとっても問題ない体に戻す作業が必ず必要です。
個人的には最後の一行。
食物を制限し、症状が治まっている間に腸内環境の修復をしてそのような食事をとっても問題ない体に戻す作業が必ず必要です。
これがいいセリフ!
体は変化し続けてんだから、1回の検査結果でえんえん食事制限し続けるなんてバカげてるぜ!
肯定的な意見をまとめると、
● うわべの症状改善に惑わされず生活や心のありかたを考える材料としてとらえる
● 食事制限をし続けるのではなく、制限しなくてもいいからだを目指す
● 腸管バリアの指標にするなど、IgG抗体検査の利用価値を正しく知る必要がある
こんな感じでしょうか。
『遅延型フードアレルギー検査の光と影』まとめ
成人アトピーの原因かもしれない『遅延型食物アレルギー』の検査として有名な『遅延型フードアレルギー検査』。
「実際この検査ってどうなのかな?」と思って調べてみれば、否定的な意見が強いので混乱。
そこでIgG抗体検査の黒歴史とその本来の役割をバランスよく調べてみると、いろいろと納得できました。
まずは
など妄信的になるのは危険だということ。
その理由は
● IgG抗体は食物アレルギーがない人でも存在する抗体
● IgG抗体はよく食べるものほど検査で反応が出る
● なのでIgG抗体検査の結果をうのみにして食事制限をすると、栄養失調など体調を崩してしまう
これはかなり納得です。
一方、IgG抗体検査に肯定的、もしくはバランスよく見ているお医者さんたちの意見は
● うわべの症状改善に惑わされず生活や心のありかたを考える材料としてとらえる
● 食事制限をし続けるのではなく、制限しなくてもいいからだを目指す
● 腸管バリアの指標にするなど、IgG抗体検査の利用価値を正しく知る必要がある
と言う感じで、「うのみにしてはいけないが、ちゃんと利用価値がある」と教えてくれます。
全体を見た雰囲気としては、権威と政治力でパワーのある医学界の天の声により、「食物アレルギーに対するIgG抗体検査は意味がない」と言う否定的よりな意見が優勢に見えます。
でも個人的には「必ずしもそうではない」と思います。
要は
「IgG抗体検査は何が分かるのか?」
「自分が知りたい情報は何なのか?」
「分かった情報からどういう行動をとるのか?」
それをちゃんと理解したうえで利用するんなら、けっこういい検査だと思います。
具体的には…
例えば成人アトピーの人ならば、検査結果で反応が強かった食品を1品ずつ、少し意識して食べないようにしてみて、症状(カラダ)がどう反応するのかを感じてみるのもいいかも。
すると「これを食べないように気を付けてみると少しいい気がする」みたいな発見があるかもしれません。
というところでこのシリーズは完結です。
わたくし個人としてはもっと思うところもありますが、ここで書くとひじょーに長くなりそうだし、見る人によってはちょっとトンデモな内容になりそうなので、番外編にてお待ちしています。興味がある方だけどうぞ。
最後までありがとうございました!
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