さて、前回は古民家物件を探す方法を9つご紹介しました。
あの手この手で古民家を探していた4年前は、「とにかくお宝物件を手に入れちゃる!」という情熱にあふれており、短期間に濃いお勉強と経験ができました。
今回は、その時に身に付いた『お宝物件』や『理想の物件』をゲットするためのコツをシェアします。
1:「理想の古民家」を明確にしよう!
2:土地物件(古屋付き)を探そう!
3:独自の『古民家アラート網』を作ろう!
4:物件の『市場価値』を調べよう!
5:専門家の意見を必ず聞こう!
6:果報は寝て待て!
※1~3は物件を探すときのコツ。4~6は物件を決めるときのコツ
この6つのコツでお宝物件や理想の物件をゲットできるということはすなわち、『失敗をしない』ということでもあります。
なのでこの記事を読み終わるころには、「古民家選びで失敗しなくて済むコツ」が同時にあなたのものです。
コツ1:「理想の古民家」を明確にしよう!
意外にこれをないがしろにしている人が多いと想像してます。
でも、これをコツの1番にもってくるほど超大切。
ちなみに『明確にする』というのは、『書き出してリスト化する』ということです。
エラそうに言ってますけど、わたしの場合は奥さんと『理想の古民家』をすり合わせる必要があったので、偶然リスト化して明確にする必要がありました。
結局それがものすごく役に立ったので、この方法は絶対的におすすめです。
理想の古民家を書き出すメリット
・頭の中でぼんやりとしていた理想が、しっかりとした輪郭を持つようになる
・字になることで現実感が増し、それに向けた行動につながる
・複数ある理想を忘れずにすむ
・いい物件に会えた時、比較できる一覧表となる
・理想に優先順位をつけておくと、2つの物件で迷ったときなどに決定がスムーズになる
理想の古民家のリスト化
✅ 思いつくままに箇条書きでいくつでも書く
✅ 予算・立地・間取り・築年数・こだわり・水道等インフラ・庭の広さetc…
✅ それぞれなるべく具体的かつ詳しい内容で書く
✅ 出しつくしたら最後に、優先順位をつける
✅ 後で書いていない理想を思い出したら随時追加する
この中で説明が必要なのは、「なるべく具体的かつ詳しい内容」でしょう。
たとえば…
✖「平屋がいい」
◎「40坪程度のかわら葺きの平屋で、3~4部屋程度がいい」
これぐらいは具体的にしましょう。
『理想の古民家』と妥協点について
当然ですが、このリスト通りの物件は、あなたの頭の中にしか存在しないことを忘れないでください。
「絶対にこの通りの古民家をみつけてやる!」というのはムリがあります。
そうです。理想の女性を追い求めすぎて行き遅れたオッサンみたいになります。
わたしの体験値としては、だいたい65点以上ならかなり理想通りの物件と言えます。
80点以上なら即交渉していいレベルですね。
要は、理想を決めたうえで、どこかで妥協が必要だということです。
結婚や就活といっしょですね。
コツ2:古屋付き土地物件を探そう!
あるとき、好きなブログを読んでいました。
すると画面の片隅に広告が掲載されており、そこにちょっといい感じの古民家が映っていたのです。
おもむろにクリックしたら、よく利用する不動産情報サイトに飛び、その古民家は土地物件として、なんと120万円で売り出されていました。
「なっ、なんだこの安さは!?さんざんこのサイト見てるけど、初めて見たぞ」
「そもそも土地物件なのになんで家が建ってるんだ?」
すぐに不動産屋に連絡して実際に物件を見に行きましたが、なんと畑と栗山、竹林も付いてこのお値段でした(笑)
しかしお隣との敷地境界線があいまいだった(庭が共同?)のと、軒が触れるぐらい近くに建っていたのでやめました。
こうしてわたしは『土地物件』の中には、立派に古民家が建っているケースがけっこうあることを知ります。
古家付土地【ふるやつきとち】
古家付土地とは、ほぼ経済的価値のない古い家がある土地のことです。
古屋付土地、廃屋付土地、上物付土地、売地(古家あり)なども同義です。経済的な価値はなくとも、利用価値は個人により異なります。まだ使えると判断して使用する、もしくは撤去して住宅を建てるなどは、購入者(所有者)の自由です。
不動産業界の常識として、住宅は毎年その価値が下がっていき、20年後には価値が0になります。
要するに築50年以上の古民家は、価格0円が当たり前ということですね。
そして売主や不動産屋の立場からすれば、古民家は紹介後にどうしても不具合が起きやすい商品です。
「中古物件」として販売するとトラブルが出る可能性は高く、責任問題を避けたいという心理が働きます。(法律的に訴えられやすい立場)。
そこで、
ということになるのです。
もちろん「小屋付土地」の古民家の状態はピンキリ。
リフォーム不可能で取り壊し前提のものもあれば、問題なく住めるものまでさまざまです。
このように、安くお宝物件が手に入る可能性がある『古屋付き土地物件』。
注意点としては、売主や不動産屋がリスクを避けて「中古住宅じゃなくて土地を売ります。たまたま古家が建ってますけど」と言っているのだから、その古民家は自分の責任で目利きをしなければならないということです。
『古屋付きの土地物件』ならお宝古民家が安く手入る可能性がある
『中古住宅』と違い、不動産屋や売主は建物に対して責任がないため、その古民家の状態は自分でしっかり見定める必要あり
コツ3:独自の『古民家アラート網』を作ろう!
ヤフーオークションって、使ったことありますか?
個人間でオークション取引ができる有名なサイトですね。
その中で、『アラート』という機能があります。
【条件に合う商品が出品されたら通知する(オークションアラート)】
オークションアラートを作成すると、条件に一致する商品が出品されたときにメールなどで通知を受け取れます。
これけっこう便利ですよね。
これを古民家探しにも応用しようというワケです。
つまり自分好みの古民家があったら連絡が来るようにしておくということですね。
具体的には、
① コツ1で書いた『理想の古民家像』を、他人に渡しても問題ないような書き方に修正した『希望する古民家の条件』一覧を作る
② 不動産屋やNPO、行政などを回る際に、必ず①で書いた一覧を渡し、似たような物件が出たらすぐに連絡をくれるよう頼んでおく。
これであなただけの『古民家アラート網』ができあがります。
特に不動産屋の場合は商売なので、物件が出たらすぐに連絡をくれると思います。
注意点として『理想の古民家像』⇒『希望する古民家の条件』に書き換えるときには、
・絶対にゆずれない条件はそのまま書く
・理想が高すぎる場合は、最低限の条件に直して書く
・名前と電話番号やメルアドなどの連絡先を一緒に記入しておく
こういったところに配慮してみてください。
コツ4:物件の『相場』を調べよう!
コツ2でお話ししたように、築20年以上で住宅の価値が0になるこの日本において、基本的には古民家の建物としての価値は0のはずです。
逆に言えば、「古民家物件の価格=土地の価格」と言っても過言ではありません。
そのため、気になる古民家物件があったとき、まずはその土地の相場(市場価値)を知ることができれば、価格が適正かどうか判断できます。
アンティークの家具が高価であるのと同じように、古民家でも状態によって建物の価値が高いと判断されればそれ相応の価格がつきます。
すべての古民家の価値が0というわけではありませんのでご注意を。
ここからはざっくりと相場を判断できるぐらいになれる知識をお伝えします。
「もっと詳しく知りたい!」という方は、下のサイトが超わかりやすくておすすめです。
さて、その土地の『相場』を調べるために、まずは「土地の価格は複数ある」ということを知る必要があります。
この中で相場に関係するのは、『公示地価』『基準地価』『実勢価格』の3つです。
この3つを調べると、自分が気になっている物件の相場がなんとなく分かり、価格が適正なのかどうかの判断ができます。
ちなみに、土地の価格は≪坪単価≫と≪㎡単価≫の2種類あるので注意!
比べるときは、同じ単価で比較しましょう。
『公示地価』と『基準地価』
まず、この2つはほとんど同じものと考えてOKです。
要は国や行政が公表している土地の価格で、市場もそれを参考にしています。
自分が気になっている物件の一番近くの『基準値』の価格を把握しましょう。
⇒全国地価マップで調べることができます。
『実勢価格』
実際に市場で取り引きされている価格のことです。
こちらも、気になる物件の周辺で取り引きされている土地の価格を調べてみましょう。
3つの価格から相場を判断
『公示地価』『基準地価』『実勢価格』それぞれの≪坪単価≫もしくは≪㎡単価≫を調べたら、だいたいの相場が見えてきます。
それでは自分が出した『相場』と気になっている物件の単価とを比べてみてください。
①「相場より高い」:高いぶんが『古民家の価格』である可能性あり。それを踏まえて判断。
②「相場と同じぐらい」:価格の問題はなし。古民家の状態によってはお買い得。
③「相場より安い」:お買い得物件。ただし、環境要因その他の問題点がある可能性あり。
『相場』を知ることでこんなメリットが!
このように相場を知って、自分である程度判断ができるようになると、
・「ボッタクリ」に合う確率がグンと下がる
・空き家バンクなど価格設定がめちゃくちゃな場合でもしっかり判断できる
・値段交渉の材料になる
こういうメリットもあります。
コツ5:できれば専門家の意見を聞こう!
前章でお話したように、土地や建物に対する知識をつけることは、いい古民家をゲットするために非常に大切です。
とはいえあくまで自分が不動産の素人だということを自覚しておくのはもっと大切です。
たとえば土地の価格相場ひとつとっても、前章で説明したのは素人が知っておくべき程度の知識であって、本当はもっと複雑な要因が絡まって相場や価格は決まります。
建物のことも、どんなに知識をつけてもプロの知識と経験にはかないません。
そういう意味でも、不動産屋や鑑定士などのプロの意見はしっかりと聞きましょう。
空き家バンクなどの「プロの目が入っていない物件」ならば、できれば一度知り合いの不動産関連の人に見てもらいたいものです。
コツ6:果報は寝て待て!
もちろんたとえ話なので、寝てるだけじゃダメですが…
はじめにちょっとお断りをしておくと、この章は今まで以上に独断と偏見が大きいです。
あくまで1意見として参考までにお聞きください。
どういうことかと言うと、
・さんざん探し回ったが、なかなかいい物件に出会えない
・とにかく早く古民家暮らしがしたいから、妥協した物件で交渉に入った
・「今決めないと、他にも検討している人がいる」と言われ、焦って交渉に入った
こういう場合に、「ちょっと1回冷静になるために、寝て待つぐらいの余裕を持ちましょう」という意味合いです。
なぜなら、上のような状態でムリして手に入れた物件は、あとあとハズレだったと後悔する可能性が高いと思っています。
わたしは不動産(億単位含む)を買った人たち数人から
いい物件が手に入るときは、必要な時に話が舞い込み、ムリなくスムーズに手に入る
という同じような迷信めいた話を聞いたことがあるので、直感的にこれを信じています。
実はわたし自身も同じような経験をしていますので、少しお話します。
【体験談】交渉が進む物件・進まない物件
当時のわたしは一刻も早く田舎の古民家に住みたいあまり、少し妥協して物件Aの交渉(賃貸)に入っていたのですが、なぜか話が一向に進まない。
仲介者がNPOだったため、なんとなくムリを言いづらいこともあり、週に1回確認の電話を入れる程度でした。
進まない理由は、貸主が片付けなどに動かないとのこと。
1か月ほど経っても状況が変わらないので、あきらめて他の自治体の空き家バンク等で物件探しを再開しました。
ところがそんなある日、NPOの代表から「すごくいい物件Bが出たから見に行きませんか」と誘われました。
現地近くで合流してさっそく物件Bへ。
すぐに気に入りましたが、一応数日間自分なりに調査をして、交渉に移りました。
売り主とはスムーズに交渉が運びましたが、今度はわたしが資金面で手間取りました。
しかし、資金に関してはすぐにあることがきっかけで解決し、契約までトントン拍子で運びました。
そんな物件Bが、現在住んでいる古民家です。
満足して住んでおります。
もしもあそこでムリに物件Aの交渉を進めていたら、トラブルに巻き込まれていたかもしれません。それに、物件自体も今冷静に考えてみると少し難がありました。
ここでもう一度さきほどの言葉をどうぞ。
いい物件が手に入るときは、必要な時に話が舞い込み、ムリなくスムーズに手に入る
いい古民家物件との出会いは、きっといいタイミングでやってくると思います。
それから、コツ3でお話しした『古民家アラート網』を作っておけば、ムリせず『待ち』の姿勢でいられます。
精神的よゆうをもって、運命の古民家からのお呼びを待つことができるでしょう。
まとめ:あなたに合った古民家物件がきっとある
1:「理想の古民家」を明確にしよう!
2:土地物件(古屋付き)を探そう!
3:独自の『古民家アラート網』を作ろう!
4:物件の『市場価値』を調べよう!
5:専門家の意見を必ず聞こう!
6:果報は寝て待て!
今回お話したコツを実践すれば、きっと大きな失敗はしないし、あなたにピッタリな古民家を探し当てる可能性も高くなるでしょう。
不動産の知識に関しては、ここでお話ししているのは本当に氷山の一角です。
自分でしっかりと判断したいのであれば、ネットを活用したり本を読み漁るなどしてもっと調べてみてくださいね。
あなたがいい古民家物件に巡り合えることを祈っております。
それでは今回はここまでです。
さいならー
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